『多動脳』を読んで、集中するための条件を見直した

『スマホ脳』を読んだ流れで、同じアンデシュ・ハンセンの『多動脳』を読みました。前作と似た話もありますが、今回はADHDが軸です。

自分の集中力のムラを考え、どんな条件なら集中できるのかを見直す材料になりました。

www.shinchosha.co.jp
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退屈には弱く、好きなことには没頭する

本書は、ADHDの傾向が強い人は普通の刺激では報酬系が反応しにくく、強い刺激や早い報酬を求めやすいと説明します。退屈な作業から新しい情報へ注意が移るのは、意志の弱さだけではなく、ドーパミンや報酬の感じ方も関係しているらしいです。このあたりは、『スマホ脳』にも出てきたドーパミンの話と重なります。

興味のあることへ極端に没頭する「ハイパーフォーカス」や、締め切り直前だけ急に集中できる現象も紹介されています。追い込まれて緊急性が生まれると、ようやく脳が十分な刺激を受け取れる。何度も経験があるが、できれば直したい。

気が散ることと、アイデアが広がること

強みの話で特に面白かったのが、デフォルト・モード・ネットワーク、略してDMNです。特定の作業へ集中していないときに働きやすく、自由な連想や創造的な思考に関わります。

ADHDでは、作業中にDMNと注意を担うネットワークの切り替えがうまくいきにくい傾向も報告されています。集中を邪魔する性質と、アイデアが広がる性質は表裏なのかもしれません。

無関係な刺激まで拾いやすい「リーキー・アテンション」と、創造的な実績の関係を示した研究も紹介されています。ただし、ADHDだけを対象にした研究ではなく、気が散るほど創造的になるという単純な話でもありません。普段なら捨てる情報が、発想の材料になることもある。そのくらいに受け取りました。

考えが詰まったときは、皿洗いや掃除へ移る。あるいは、カフェくらいの雑音の中で頭をぼんやりさせる。確実にDMNをオンにする方法ではありませんが、自分に合うか試してみたいです。

「ADHDは個性」を少し疑いながら読む

本書には、「あなたにもこの才能があるかもしれない」と注意を引こうとしているように見える部分もありました。「ADHDなら創造的」と一般化するのは雑ですし、日常の困りごとまで、きれいに才能へ変換できるわけではありません。

同じ特性でも、環境との組み合わせで強みにも負担にもなる。そのくらいの捉え方が、自分にはしっくりきました。

結局、また「運動しろ」

『スマホ脳』に続き、今回も書かれている一番の対策は運動です。

中でも、5分走った後にADHDの子供たちのゲーム成績が上がったという小規模な研究は、素直に目から鱗でした。治療の代わりではありませんが、作業前に身体を動かす程度なら試せます。

集中できる条件を探す

AI時代の仕事は、新しい刺激に困りません。エージェントの進捗、通知、生成されたコード、次に試したいツールが途切れず流れてくる。退屈を避けるには便利ですが、一つのことへ注意を置き続けるにはかなり厳しい環境です。

集中できないときは、作業を細かく分け、小さな報酬を挟み、作業前に身体を動かす。自分の脳が動きやすい条件を作っていく。これが『多動脳』からの持ち帰りでした。