【書評】『聞くチカラ』:コミュ障の私が救われた「話さなくていい」コミュニケーション術

普段は「意識高い系」の本棚なんて素通りする私ですが、今回は魔が差して(?)一冊の自己啓発本を手に取ってしまいました。

『聞くチカラ』(著:マツダミヒロ)

なぜこれを買ったかというと、正直に言えば「会話が苦痛だから」です。 誰かと話すたびに「変なこと言ってないかな」「沈黙が怖いな」と冷や汗をかく日々。そんな自分を変えたいけれど、難しい修行はしたくない。そんな甘ったれた根性で、薄くて読みやすそうなこの本を選んだわけです。

結論から言うと、これは「あたり」でした。

自己啓発本特有の圧が少なく、まるでコミュ障専門のカウンセリングを受けているような安心感。読み終わった後、「あ、これでいいんだ」と肩の荷が下りた気がしました。

聞くことへの哲学:「話さなくていい」という救い

この本は、大きく分けて「考え方」「心構え」「実践テクニック」の3部構成になっています。

一番衝撃的だったのは、著者のこの主張です。

「話す必要はない。むしろ聞き専に徹するほうがうまくいく」

え、本当に? 会話って、面白いことを話して相手を盛り上げるゲームじゃないの?

本書によると、コミュニケーションにおける「聞く」と「話す」の黄金比率は95:5だそうです。つまり、ほとんど話さなくていい。 むしろ、話上手な人よりも「聞き上手」な人の方が、相手に好かれ、信頼され、仕事もうまくいくと説いています。

「自分が何を話すか」ばかり気にしていた私にとって、これは目からウロコでした。「面白いエピソードトークをしなきゃ」というプレッシャーから解放された瞬間です。

実践テクニック:当たり前だけどできていないこと

後半には具体的なテクニックが紹介されています。

  • うなずき
  • 表情
  • リアクション
  • アイコンタクト

「なーんだ、そんなことか」と思いました? 私も思いました。 でも、著者が書く「オウム返しのタイミング」や「へ・ほ・はの法則(へー、ほー、はー、と感嘆詞を使う)」のあたり、良く読んでみると、意外と自分ができていないことに気づかされます。

知っていることと、できていることは違う。

この本は、新しい魔法のようなテクニックを教わるというよりは、自分のコミュニケーションの「点検」に使うのが最適だと感じました。 「あ、今の自分、スマホ見ながら生返事してたな」と気づくだけでも、会話の質は変わります。

著書へのツッコミ:ここだけはハードルが高い

と、ここまでベタ褒めしてきましたが、根っからの面倒くさがりな私として一つだけツッコミたい章があります。

それは「事前準備」の章。

著者は、「相手の素性がわかる場合は、事前にブログやSNSをリサーチして質問を用意しよう」と言っています。

……いやいや、先生。 それができるマメな人間なら、こんなに会話で悩んでないんですよ! 他人にそこまで興味を持てないから困ってるんじゃないですか!

読みながら心の中で「著者、お前コミュ障ちゃうやろ、似非コミュ障やろ!」と盛大にツッコんでしまいました。 ごめんなさい。でも、これがコミュ障のリアルな叫びです。 この「事前リサーチ」だけは、私にはまだハードルが高そうなので、そっとページを閉じました(笑)。

結論:コミュ障は読んで損なし

ツッコミどころもありましたが、総じて『聞くチカラ』は会話に苦手意識を持っている人におすすめできる良書です。

  • ページ数が少なくサクッと読める
  • 「話さなくていい」という安心感が得られる
  • 明日から使える簡単なテクニックが載っている

全部を実践する必要はありません。 「95%は聞く側でいいんだ」というマインドセットと、「相槌を打つ」というシンプルな行動。 これだけでも、明日の会話が少しだけ楽になるはずです。

「全部できなくてもいい、一つでも拾えれば儲けもの」

そんな軽い気持ちで、手に取ってみると良いかと思います。