iPadではなく「あえての液タブ」という選択。Wacom One 14 で構築する理想の勉強環境

最近、資格の勉強を始めました。 そこで直面したのが、「紙のノートとシャーペンを用意する」というアナログな作業が、意外と面倒だという事実です。特に数学の式などをパソコンで打ち込むのは時間がかかってしまいますし、パッと手書きできるデジタルの学習環境がどうしても欲しくなりました。

図の作成などはすでに便利なサービスがありますが、今回はあくまで「勉強でのノート取り」を快適にすることが目的です。

色々と考えた末、僕が選んだのは iPad でも Android タブレットでもなく、Wacom One 液晶ペンタブレット 14 (DTC141W0) でした。

なぜその結論に至ったのか。自作のデスクトップ PC に液タブをケーブル 1本で繋ぐまでの道のりと、実際に使ってみて感じたことをまとめてみます。

デバイス選びで大切にしたこと:長く使い続けたい

手書き環境を考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは iPad などのタブレット端末ですよね。実際、僕も最初は候補に入れていました。

どこでも持ち運んで書けるのはとても魅力的なのですが、どうしても気になってしまったのが「数年後の性能」です。

タブレットの「寿命」への懸念

便利なタブレットですが、数年も経つとどうしても「寿命」の問題が出てきます。具体的には、OS のアップデートが止まったり、高性能だった CPU も最新のアプリを動かすには力不足になったり、さらにはバッテリーの持ちが悪くなったり。 こうした「本体(中身)」の寿命が、まだ綺麗なディスプレイの寿命よりも先にきてしまうのが、個人的にはもったいないと感じていました。最新の高性能なモデルは非常に高価ですが、数年で性能が追い付かなくなってしまうことを考えると、長く使いたい自分としてはここが大きな悩みでした。

メイン PC のパワーを活かしたい

また、普段使っている高性能なデスクトップ PC のパワーを、そのまま手書きのノートにも注ぎ込みたいと考えました。PC の大画面や、フル機能のブラウザを使いながらノートを取れる環境。それが理想でした。

「液晶ペンタブレット(液タブ)」という選択肢

そこで行き着いたのが、パソコンに繋いで使う「液タブ」です。液タブには、独立したタブレットにはないこんなメリットがありました。

  • 一生モノに近い安心感: 液タブ自体は「ペン入力ができるモニター」なので、パソコンを新しくしてもそのまま使い続けられます。
  • 最新の環境をいつでも使える: パソコン側のブラウザやアプリをフル活用できるので、処理が重くなる心配がありません。

今回は、2025年9月に発売されたばかりの Wacom One 14 を選びました。プロの絵描きも愛用する Wacom ブランドの安心感と、導入しやすい価格、そしてノートを取るのにちょうど良い 14インチというサイズ感が決め手です。

画面の保護フィルムについては、液晶を傷から守って長く大切に使いたかったので、さらに書き味も考慮して専用のものを貼ることにしました。

自作 PC と ThunderboltEX 4:ケーブル1本への挑戦

デバイスは決まりましたが、自作 PC ユーザーならではの壁がありました。僕の PC には、映像を送り出せる USB Type-C ポートがなかったのです。

そこで、ASUS の ThunderboltEX 4 という拡張カードを PC に追加することにしました。これがあれば、USB-C ケーブル 1本だけで液タブを繋ぐことができるようになります。

導入時のちょっとした苦労

自作 PC にこのカードを追加するのは、少しだけパズルに近い作業でした。

  • 物理スロットの確認: 幸い、マザーボードの一番下の PCIe スロットが空いていました。ここは残された唯一の拡張スロットだったので、まさに「最後の一枠」に滑り込ませた形です。
  • マザーボードとの接続: カードを挿すだけでなく、専用の端子(TB_HEADER)と USB 2.0 ヘッダーの両方を配線する必要があります。マザーボード上の印字はかなり見づらかったのですが、なんとか場所を特定して無事に接続することができました。
  • 映像のループバック: 背面で、グラフィックボードから拡張カードへ映像を中継するケーブルを繋ぎます。
  • 設定の変更: 最後に、パソコン起動時の設定(BIOS)で Thunderbolt を有効にします。

これで無事にセットアップが完了し、液タブが認識されました。

実際に使ってみて:勉強がグッと楽しくなった

カードのおかげで、液タブと PC は付属のケーブル 1本で繋がっています。このケーブルは意外と長く、PC 本体がデスクの下にあっても、余裕を持って手元まで引っ張ってくることができました。

仕組みとしては「ディスプレイの拡張」なので、ノートアプリのウィンドウを Wacom 側の画面にドラッグしてきて使うことになります。これが想像以上に便利で、メインモニターに電子書籍や参考書を大きく映し出しつつ、手元の Wacom 側でサッとノートを取るという使い方が。

以前は、draw.io などで図解を描いてから、それを Outline (ナレッジ共有ツール)にインライン表示させる、といった「1ホップ・2ホップ」の手間がかかっていました。それが今では、PC に向かったままダイレクトに書き込めるので、思考の中断が全くありません。

ただ、self-hosted 界隈の住人としては、手書きしたデータをそのまま自分のサーバーに同期・保存したいというこだわりがあります。このあたりの要望を完璧に満たしてくれる「理想のノートアプリ」は現在探し中ですが、環境自体はすでに最高のものになりました。

ひとつだけ気になること

とても快適なのですが、ひとつだけ現在調査中のことがあります。 「液タブの電源を入れた際、たまにケーブルを一度挿し直さないと映像が出ないことがある」という現象です。

これはおそらく、 ASUS のマザーボードや Thunderbolt 拡張カード側の制御に関連する不具合である可能性が高いと考えています。もし同じような形で液タブを導入しようとしている方がいたら、こうした少し手のかかる「相性問題」が起きる可能性があることは覚悟しておいてほしい、と思っています。

まとめ

今回の環境構築にかかった費用の内訳は、以下の通りです。

  • Wacom One 14 本体: 約3.5万円
  • ASUS ThunderboltEX 4: 約1.5万円
  • 専用保護フィルム: 約2,000円
  • 合計: 約5.2万円

多少の手間はかかりましたが、結果として「自宅の強力な PC で、最新の環境をずっと使い続けられる手書きノート環境」を手に入れることができました。

これからはこの液タブを相棒にして、日々の勉強をしていこうと思います。まずは、自分にとって一番使い勝手の良い「ノートアプリ」をじっくり探してみるつもりです。