TrueNAS×Google Drive:実用性重視の「ゆるい」階層型バックアップ体制を作った話

はじめに:家庭用NASの「3-2-1ルール」は重すぎる

みなさん、自宅のNASのバックアップ、ちゃんと取っていますか? 「NASのデータは消えたら終わり」とはよく言いますが、いざ完璧なバックアップ体制を構築しようとすると、ハードルが高くて腰が重くなりますよね。

バックアップの基本として「3-2-1ルール(3つのコピー、2種類のメディア、1つのオフサイト)」が推奨されますが、個人のおうちインフラでこれを厳格に守るのは、コスト的にも運用面でも正直かなりしんどいです。

「完璧を目指して何もしないよりは、少しゆるくても実用的なバックアップを回す方がマシかな」と考え、今回はコストと実用性を重視した、TrueNASとGoogle Driveを組み合わせた階層型のバックアップ体制を組んでみましたので、その備忘録を残しておきます。

全体構成:コストと用途に合わせた3階層アーキテクチャ

今回は、データの種類や使用頻度に合わせて、ストレージを大きく3つの層に分けて管理することにしました。厳密な3-2-1ルールには少し足りない部分もありますが、実用性重視でそこは目を瞑っています。

flowchart TD

バックアップ1:NAS内蔵SSD(高速・ストリーミング用)

最もアクセスが頻繁なデータは、高速な内蔵SSDに配置しています。

具体的には、写真(Immich)、ドキュメント(Paperless)、ナレッジ(Outline)や電子書籍(Booklore)など、「スマホやPCのアプリ経由でパッとストリーミングしたいもの」に限定しています。読み込みの遅延が使用感に直結するため、容量単価が高くてもSSDの恩恵を受けやすい部分です。

バックアップ2:NAS内蔵HDD / RAID1構成(大容量・アーカイブ用)

次に、容量重視のデータや、一次バックアップの保管先としてHDD(RAID1)のプールを用意しました。 ここでの役割は以下の3つになります。

  1. SSDデータ(バックアップ1)のローカルバックアップ先
  2. 大容量アプリデータの保存先(初めからここに保存してSSDを圧迫させない)
  3. ローカルPCのアーカイブ(普段使わないデータや、整理が面倒で「とりあえず放り込んでおけ」というデータをSamba経由で直接保管)

アクセス頻度が低く、とりあえず大容量が必要なものはすべてここに集約されるイメージです。

バックアップ3:Google Drive(クラウド・最終防衛線)

そして最後の砦がクラウドバックアップです。今回はTrueNASの標準機能を利用し、Google Driveへ「PUSH形式」で同期(Sync)しています。

現在「Google AI Pro」を契約しているため、副産物として2TBのクラウド容量が使えます。2TBは一見余裕があるように見えますが、全データを上げているとそのうち溢れてしまうのは火を見るより明らかです。 そのため、クラウドに上げるのは「写真」「重要なドキュメントデータ」など、「本当に無くなったら泣くもの」に厳選して保存しています。

TrueNASでのCloud Sync設定手順

TrueNASからGoogle Driveへのバックアップは、標準機能だけで非常にスッキリと設定できます。

1. クラウド認証(Credentials)の設定

まずはTrueNASとGoogle Driveを連携させます。 左のメニューから Credentials -> Backup Credentials の画面に移動し、「Cloud Credentials」を追加します。 プロバイダで Google Drive を選択し、画面のインストラクションに従ってGoogleアカウントの認証を通すだけです。OAuth認証等でポチポチ進めるだけで完了します。

2. データ保護(Cloud Sync Tasks)の追加

次に、実際のバックアップジョブを設定します。

メニューから Data Protection に移動し、Cloud Sync Tasks を追加します。

  • Direction (方向): PUSH (NASからクラウドへアップロード)
  • Transfer Mode: SYNCCOPY など用途に合わせて設定
  • Directory / Folder: バックアップしたいNAS上のディレクトリと、同期先となるGoogle Driveのフォルダを指定します。

ここで一つ注意点です。 スケジュールのデフォルト設定は「毎日 00:00」になっています。これは世界中で様々なバッチ処理が走りまくる時間帯なので、可能であればCron形式で時間をずらす(例:深夜3時15分など)のが地味におすすめです。こういう細かい気配りが、運用時の謎の帯域詰まりを防いでくれます。

まとめ:完璧でなくても「安心感」は十分買える

この構成にしてから、ストレージの障害や万が一のPCクラッシュに対する安心感が段違いになりました。もちろんエンタープライズ基準や完全な3-2-1バックアップに比べればツッコミどころはありますが、個人の用途としては十分すぎる恩恵だと感じています。

自動でGoogle Driveに吸い上げられていくログを見ていると、「あぁ、ちゃんと守られてるな」という実感があって、精神衛生上も非常に良いです。

もし「クラウドバックアップ、設定が面倒そう」と思って後回しにしている方がいたら、TrueNASからの設定は拍子抜けするほど簡単なので、これを機にぜひ試してみてください。